作家さんのメッセージ

第2回 富安 陽子さん2009年9月

第2回 富安 陽子さん

やまんばなどが登場するファンタジー作品で有名な児童文学作家の富安陽子(とみやすようこ)さん。いつもどんなことを考えて作品を作っているのか、冨安さんにとって本はどういったものなかのか・・・。みなさんにメッセージが届きました。

【プロフィール】
1959年、東京に生まれ。和光大学人文学部文学科卒業。『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞受賞、「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社)で新見南吉児童文学賞を受賞、『空につづく神話』(偕成社)でサンケイ児童出版文化賞受賞、『やまんば山のモッコたち』(福音館書店)がIBBYオナーリスト2002文学作品に選ばれる。その他の作品に『ドングリ山のやまんばあさん』(理論社)『菜の子先生がやってきた!』『シノダ!チビ竜と魔法の実』(偕成社)、「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)などがある。

ちいさなおともだちへ(幼児〜小学校低学年対象)

 こんにちわ、とみやすようこです。
 わたしは、そらを とべないけれど、そらを とぶってどんなかな?と よく そうぞうします。プールに うかぶように かぜに ふわりと からだを のっけて、みずのなかを およぎまわるように、くうちゅうを じゆうに とびまわる―。そんなことを そうぞうすると たのしくて むねが ワクワクしてきます。
 わたしは、のっぺらぼうに あったことがないけれど、のっぺらぼうって、どんなかな?と よく そうぞうします。めも はなも くちも まゆげもないかおって、どんなだろ?ひふは すべすべしてるかな?くちが なくても おしゃべりは できるかな?のっぺらぼうも あさおきたら かおを あらうのかな?―。そんなことを かんがえると、おもしろくて むねがドキドキしてきます。
 いろんなことを そうぞうして、くうそうして かんがえて くみたてて、わたしはおはなしを つくります。だれも みたことのない、だれも まだしらない、ふしぎなせかいを つくりだすことが わたしのしごとです。わたしの こころの なかで うまれたくうそうのせかいは、げんこうようしのうえで かたちになり、やがて 1さつのほんになります。
 ほんをひらいて、ものがたりのせかいに あそびにきてください。いっしょに そらを とびましょう。いっしょに のっぺらぼうに あいにいきましょう。

10代のみなさんへ

 10代のころ、私には大好きな本がありました。『たのしいムーミン一家』(講談社)という本です。作者は、トーベ・ヤンソン。この人はフィンランドの女流作家です。ムーミンは、北欧の昔話に出てくるトロールという魔ものの男の子で、さし絵を見ると、かわいい、白い、カバのような姿をしていることがわかります。
 『たのしいムーミン一家』の物語の最初のページは、ムーミン谷にその冬最初の雪が降り、ムーミンたちの一家が冬の眠りにつくところから始まります。私は、この本が本当に大好きで、表紙がボロボロになるぐらい、何度も何度も読んだので、自分が昔、ムーミン谷に住んでいたような気がするほどです。あの、雪の降りつのる最初のシーンを思い出すと、今でも私の心の中には、冷たい冬の風の匂いや、谷を静かにうめていく雪の気配がよみがえってきます。
 10代のころの私は、しょっちゅう、このムーミン谷に遊びに出かけていました。学校で友だちとけんかした時。大きらいなマラソン大会の前の夜。テストで悪い点をとった時―。
 どんなに、へこんで、落ちこんでいる時にも、ムーミン谷に行けば、そこには、すてきな友だちが待っていて、私はまた、元気になることができました。
 『大好きな本を一冊、手に入れるということは、だれにもじゃまされない、秘密の隠れ家をひとつ手に入れるということだ』と、言った人がいますが、あの本はまさに、私の心の中の秘密の隠れ家だったな、と思います。
 私の書く物語の世界へ、みなさんが遊びに来てくれるのを待っています。そして、私の書いた本がみなさんにとって、居心地のいい隠れ家になれたらいいな、と願っています。

みんなのおたより

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